1. SMBとは?MacでNASを使うなら押さえておきたい基礎知識
MacでNASを利用するとき、多くの人が標準的に使用するのが「SMB」という仕組みです。SMBはネットワーク越しにファイルを共有するためのプロトコルで、Synology・QNAPなどほとんどのNASで採用されています。特にmacOSはSMBを優先して接続する仕様になっているため、Macユーザーにとっては必須の設定ポイントになります。しかし、初期設定のままだと速度が安定しなかったり、大量のファイルコピーで止まってしまうことがあるのも事実です。これはSMBのバージョンやキャッシュの使い方、さらにはFinderの挙動が影響していることが多く、ポイントを押さえて設定しておくだけでNASの操作が驚くほど快適になります。まずはSMBの基本をやさしく理解しておくことで、後の最適化がスムーズに進みます。
2. MacでSMB接続を行う基本手順と覚えておきたいポイント
MacからNASにSMBで接続する場合、Finderの「移動」→「サーバへ接続」から smb://NASのIPアドレス を入力するだけで簡単にアクセスできます。次回以降はサイドバーに表示されるため、通常のフォルダのように扱えるようになります。ただし、接続時に認証情報を保存するかどうか、どの共有フォルダにアクセスするかなど、細かいところを意識すると後の運用が楽になります。また、NAS側でSMB1/2/3のバージョンが選べる場合、基本的にはSMB3を優先することで速度と安全性が向上します。MacではSMB接続時に暗号化が有効になったり、署名が使われたりするため、環境によってはCPU負荷が上がり転送速度が落ちることもあります。接続の仕組みを知っておくと、設定を切り替える際に判断しやすくなります。
3. NAS側で行うべきSMB最適化(Synology例で解説)

NAS側の設定は、Macでの速度に大きく影響します。Synologyを例にすると「コントロールパネル → ファイルサービス → SMB設定」にさまざまな項目があります。まずバージョンはSMB2以上を必須にし、SMB3を最大値にしておくのが一般的です。また、「SMBの送信/受信バッファ」や「大きなMTUのサポート」を有効にすると、大容量のファイル転送で安定しやすくなります。NASによっては、Spotlightインデックスを無効化することでMacとの検索競合が減り、フォルダアクセスが軽くなることもあります。さらに、Macはパッケージ単位でファイルを扱う特徴があるため、NAS側で「拡張属性」「ファイルインデックス」を適切に設定しておくと負荷が減り、速度が安定しやすくなります。設定を少し見直すだけで、体感がガラッと変わることも珍しくありません。
4. Mac側で行うSMB最適化:Finderとネットワーク設定のコツ
NASだけでなく、Mac側の調整も効果があります。まず、Finderはネットワークドライブの読み込みが遅くなることがあるため、不要なサーバをサイドバーから削除したり、接続先を明確にするだけでも安定します。また、ネットワーク環境設定で有線LANを優先順位の上位に置くと、Wi-Fiと有線の切り替えによる速度低下を防げます。さらに、ターミナルで「nsmb.conf」という設定ファイルを作成し、SMB3のキャッシュ動作を調整する方法もあります。たとえば signing_required=no を設定すると暗号署名が無効化され、速度が向上するケースがあります(ただし社内ネットワークなどでは非推奨)。こうしたMac特有の調整は初心者には少し取っつきづらいものですが、ポイントを押さえれば比較的簡単です。負荷を減らすだけで、NASとのやり取りが驚くほど快適になります。
5. 速度が遅いときに見直したいチェックポイント
SMBの設定を最適化しても速度が出ない場合、設定以外の部分に原因があることもあります。特にLANケーブルの規格が古い(Cat5など)と1Gbps以下でしか通信ができず、SMBの最適化以前に物理的な制限がかかります。また、スイッチングハブやルーターが1Gbps未対応だと速度が頭打ちになります。Mac側ではウイルス対策ソフトがSMB通信を監視していると大幅に遅くなるケースもあります。さらに、大量の小ファイルのコピーはどうしても時間がかかるため、フォルダ圧縮を利用したり、NASアプリを利用した移行が有効な場合もあります。SMBは便利ですが環境の影響を受けやすいため、全体のバランスを見直しながら最適な構成に整えていくことが大切です。
6. MacとNASを快適に使い続けるためのアドバイス
SMBを最適化すると、NASは「外付けストレージ以上の便利な存在」に変わります。写真の整理、動画保存、Time Machineのバックアップなど、日常の作業がスムーズになり快適さが増します。ただし、設定は一度行えば終わりではなく、macOSのアップデートやNASの機能追加によって挙動が変わることもあります。そのため、半年に一度くらいは設定を見直したり、SMBのバージョンや暗号化設定が意図せず変わっていないか確認しておくと安心です。また、快適さを保つコツは「負荷をかけすぎないこと」と「ネットワーク経路をシンプルにしておくこと」です。最適化は小さな作業の積み重ねですが、気づいたときに見直すだけで長くストレスなくNASを使い続けることができます。
