接続規格によってデータ転送の速さが大きく変わる理由
パソコンや外付けストレージを使うとき、「USB3.2」「USB4」「Thunderbolt」といった言葉を目にすることがあると思います。しかし、名前が似ていることもあって、どれがどれほど速いのか、どんな違いがあるのか分かりづらいですよね。ストレージの性能は内部のSSDの速度だけでなく、接続規格によっても大きく変わります。たとえ高速なSSDを買っても、接続が低速なら本来の性能が出ません。逆に、そこまで高速な機器を使わないなら、無理に高価なThunderbolt対応モデルを選ばなくても快適に使えます。この記事では、USB3.2・USB4・Thunderboltの違いを初心者でも理解しやすいように解説し、用途に合った選び方ができるよう丁寧に紹介します。
USB3.2の特徴:日常用途には十分なスタンダード規格
USB3.2は、現在最も広く使われているUSB規格で、外付けHDDやSSD、USBメモリなど多くの機器で採用されています。USB3.2にはいくつかのバージョンがあり、Gen1は最大5Gbps、Gen2は10Gbpsと、一般的な用途であれば十分な速度です。写真の保存やドキュメント整理、日常的なバックアップであればUSB3.2で全く問題ありません。多くのPCが対応しているため、互換性も高く、接続して使えないといった心配もほとんどありません。ただし、大容量の動画編集や高速な外付けSSDを使って作業する場合は、USB3.2では速度が物足りなくなることがあります。まずは自分がどんな作業をするのかをイメージしながら、USB3.2で十分なのか判断するのがおすすめです。
USB4の特徴:Thunderboltと並ぶ高速規格として登場
USB4は比較的新しい規格で、最大40Gbpsという非常に高速な通信が可能です。USB4は実質的にThunderbolt3と近い仕組みを採用しており、これまで難しかった高速通信をより使いやすい形で統一する目的があります。外付けSSDの速度を最大限引き出すことができるため、動画編集やRAW画像を多く扱うクリエイターにとっては大きなメリットになります。また、USB4はUSB-C端子を採用しており、向きを気にせず接続できるのも魅力です。Thunderboltには対応しないPCでもUSB4なら使えるケースが多く、将来性を考えると注目すべき規格のひとつです。とはいえ、USB3.2より価格が高い製品も多いため、必要な速度を見極めて選ぶと無駄な出費を抑えられます。
Thunderboltの特徴:プロ向けの最高クラスの転送性能
ThunderboltはIntelとAppleが中心となって開発した高速通信規格で、第3世代以降は最大40Gbps、第4世代ではより安定性と機能性が向上しています。他の規格と比べても非常に高速で、外付けSSDだけでなく外部GPU(eGPU)や複数の4Kモニターをつなぐなど、プロフェッショナル用途で真価を発揮します。Macユーザーにとっては特に身近な規格で、Thunderbolt対応SSDは内部ストレージ並みの速度に迫ることもあります。一方で、Thunderbolt対応製品は価格が高く、普段のバックアップや一般的なファイル管理では性能を持て余してしまう場面もあります。本当に必要な作業内容を考えたうえで導入するかどうかを判断するとよいでしょう。
規格ごとの互換性と注意点を理解する
USB3.2・USB4・ThunderboltはすべてUSB-Cケーブルを使えるため、見た目だけでは違いが分からないことがあります。特にUSB4対応端子でもThunderboltに非対応の場合があり、読み取れるマークで判断しなければいけません。Thunderboltは稲妻マークが目印で、USB4は「40Gbps」と書かれていることがあります。互換性については、規格が異なっても基本的には低い方の速度で動作しますが、高速SSDを使いたいのにUSB3.2でしか使えないと、性能が十分に発揮されません。購入前にPC側の端子が何に対応しているか確認する習慣をつけておくと安心です。また、ケーブルも規格によって性能が変わるため、「USB4対応」「Thunderbolt4対応」など表記のあるケーブルを選ぶことが大切です。
自分の用途に合った規格を選ぶことが大切
USB3.2・USB4・Thunderboltは、それぞれ用途に向き不向きがあります。日常的なバックアップや写真保存などであれば、USB3.2で十分快適に使えます。動画編集や大容量データの扱いが多い場合はUSB4がちょうどよい選択になり、プロレベルの高速処理が必要な場合はThunderboltが最適です。規格が上になるほど価格も高くなるため、必要以上の性能を求めるとコストが大きくなってしまいます。まずは自分がどんな作業をしているのか、どれくらいの速度が必要なのかを考え、そのうえで最適な接続規格を選んでみてください。正しい規格を選べば、外付けストレージの性能を最大限引き出し、日々の作業もより快適になります。
