はじめに

HDDを選ぶ際に見かける「SMR」「CMR」という表記。
NASが一般家庭にも普及したことで、HDDの記録方式と用途の相性が
実運用に大きく影響するようになってきました。

本記事では、

  • SMRとCMRの違い
  • それぞれに向いている用途
  • NAS・DASとの組み合わせ
  • 実体験から分かる注意点

を、図解を交えて分かりやすく整理します。

先に結論:

  • NAS用途 → CMR推奨(SMRは非推奨)
  • DASのバックアップ用途 → SMRでもOK
  • 頻繁に書き換える用途(作業用DAS/RAID) → CMR推奨

DASとは?NASとの違いを簡単に整理

DAS(Direct Attached Storage)とは

DASとは、PCや機器に直接接続して使うストレージの総称です。

  • USB接続の外付けHDD
  • PC内蔵HDD
  • USB接続のHDDケース

といったものは、すべてDASに含まれます。

DASとNASの接続イメージ

NASとの違い

  • DAS:1台のPCや機器専用
  • NAS:複数端末から同時アクセス

DASという言葉自体は浸透していませんが、
実際に多くの人が使っているのはDASです。

SMRとCMRの違いとは?【仕組みの違い】

CMR(従来型の記録方式)

CMRは、トラック同士が重ならない構造です。

  • 書き換えがそのまま行える
  • ランダム書き込みに強い
  • 性能が安定している
CMR HDDのトラック構造

SMR(高密度化した記録方式)

SMRは、トラックを屋根瓦状に重ねて記録します。

  • 高密度化できる
  • 大容量・低価格を実現

一方で、途中のデータを書き換えるのが苦手です。

SMR HDDのトラック構造

なぜSMRは書き込みが遅くなるのか?

SMRでは、データを書き換える際に、

  1. 既存データを一時領域に退避
  2. 新しいデータを書き込み
  3. トラック全体を再配置

という処理が内部で発生します。

SMR HDDの書き込み処理フロー

このため、

  • 書き込みが多い
  • 常時細かい更新がある

といった用途では、性能が大きく低下します。

SMR HDDの特徴と向いている用途

SMRは「一度書いたデータをあまり書き換えない」用途で力を発揮します。

メリット

  • 価格が安い
  • 大容量モデルが多い

デメリット

  • ランダム書き込みが遅い
  • 負荷が続くと速度低下が顕著

向いている用途

  • バックアップ専用
  • データ保管(動画・写真・書庫)
  • 書き込み頻度の低いDAS用途

CMR HDDの特徴と向いている用途

メリット

  • 書き込み性能が安定
  • RAID・NAS向き

デメリット

  • 価格がやや高め

向いている用途

  • NAS
  • RAID構成
  • 編集・業務用途

SMRとCMRの価格差・性能差

SMRCMR
価格
ランダム書き込み
NAS適正

代表的なシリーズ例(SMR/CMRの目安)

記録方式は容量や世代で変わることがあるため、最終的には型番で仕様確認してください。ここでは「選び方の目安」として、よく使われるシリーズ例を挙げます。

  • NAS向け(CMRの代表例):WD Red Plus / WD Red Pro、Seagate IronWolf / IronWolf Pro、Toshiba N300 など
  • SMRが混在しやすい例:同一ブランドでも「無印」「廉価ライン」「一部容量」などでSMRが採用されることがある(購入前に要確認)
  • 確認のコツ:メーカー公式仕様ページ、または「型番 + CMR」「型番 + SMR」で検索して記録方式を確認

NASとSMR / CMRの組み合わせ

NAS × SMR(非推奨)

NASでは、

  • メタデータ更新
  • RAID管理
  • インデックス処理

といった細かい書き込みが常時発生します。

【注意】実体験から分かるNAS × SMRの問題点

筆者は過去に、
安さを理由にNASへSMR HDDを使用したことがあります。

結果として、

  • 転送速度は15〜20Mbps程度
  • 使用していない深夜でもHDDの動作音が続く
  • NASが常に処理中の状態

となり、NAS用途にはまったく向かないと感じました。

なぜ深夜でもHDDが動き続けるのか?

SMRでは、NASの細かな更新が
内部整理処理を常に発生させるためです。

NAS × SMRでHDDの処理が止まらない理由

NASでは常に小さな書き込みが発生し、SMR HDDではそのたびに再配置処理が行われます。

この2つが噛み合うことで、処理が終わらないような状態になりやすいことを示しています。

NAS × CMR(推奨)

  • 安定した速度
  • RAID再構築も現実的
  • 静音性・安定性ともに良好

DASとSMR / CMRの組み合わせ

DASでは用途が明確なため、SMRとCMRを使い分けることでコストと性能のバランスを取りやすくなります。

NASとDASの用途別おすすめHDD構成

結論:NASでSMRでも使える人はいる?

結論として、ほぼいません。

  • 書き込みがほぼ発生しない
  • 性能低下や動作音を許容できる

という条件なら可能ですが、
その場合はDASで十分です。

FAQ(よくある質問)

Q1. 外付けHDDがSMRかCMRか見分ける方法は?

メーカー公式仕様を確認するのが確実です。
型番検索が必須です。

Q2. SMR HDDは「買ってはいけない」?

用途次第です。
バックアップや保管用途なら問題ありません。

Q3. NAS用HDDと通常HDDの違いは?

NAS用はほぼCMRで、
振動対策・常時稼働前提の設計です。

Q4. RAIDを組まなければSMRでも問題ない?

NAS用途では、RAIDなしでも
内部処理で問題が起きやすいため非推奨です。

まとめ

  • NAS → CMR必須
  • DASバックアップ → SMR可
  • 安さだけで選ぶと後悔しやすい

SMRとCMRは、
用途に合わせて選ぶための技術です。

Intel N100クアッドコアCPU、8GB DDR5 RAM、2.5GbE、2 * M.2 NVMeスロット、4K HDMI、ネットワーク接続ストレージ(ハードドライブは付属していません)