1. LANケーブルの規格ってなに?まずは基本からやさしく解説

「LANケーブル」と聞くと、なんとなくインターネットをつなぐ線、というイメージはあるものの、規格の違いまではよく分からない…という人は意外と多いです。家電量販店に行くと「CAT5e」「CAT6」「CAT6A」「CAT7」「CAT8」など、似たような数字とアルファベットがズラッと並んでいて、どれを選べばいいのか迷ってしまいますよね。実はこの「CAT(カテゴリー)」という呼び方は、LANケーブルの“通信速度”や“ノイズ耐性”の違いを表す規格名です。数字が大きくなるほど高性能で、より高速な通信に対応できるようになります。

とはいえ、数字が大きいからといって、誰もが最上位のケーブルを買う必要があるわけではありません。自宅のネット環境、使っているルーター、NAS、パソコンの最大通信速度などによって、最適なケーブルは変わります。この記事では、初心者の方でも分かりやすいように、LANケーブルの基本的な違いから、実際どれを買えば失敗しないのかまでを丁寧に紹介します。難しい専門用語はできるだけ使わず、身近な例えを交えながら解説していくので、LANケーブル選びに自信がない人でも安心して読み進められるはずです。

2. CAT5e〜CAT8までの違いをわかりやすく比較(一般家庭で必要なのはどこから?)

LANケーブルの規格は「CAT5e」「CAT6」「CAT6A」「CAT7」「CAT8」の順に性能が上がります。CAT5eは最大1Gbpsまでの速度に対応し、現在でも使っている家庭は多いですが、光回線が普及した今ではやや性能不足になりつつあります。CAT6はより高速で安定した通信が可能で、1Gbps回線を使っている家庭なら十分実用的です。

では、CAT6A以上は何が変わるのでしょうか?大きな違いは「10Gbps(10ギガビット)通信への対応」です。CAT6Aからは10GbE(10ギガビットイーサネット)に対応するため、より高速なネットワークを活かせるようになります。NASやゲーミングPC、データ転送が多い環境では、この10Gbps対応が非常に重要になります。また、高いノイズ耐性があるため、長い距離でも速度低下が起きにくいのが特徴です。

CAT7やCAT8もありますが、家庭用途ではオーバースペックになりがちで、機器側の対応状況も限られています。つまり、「どれを買うべき?」と迷ったとき、一般ユーザーが最初に検討すべきラインは CAT6A だと言えるのです。性能と価格のバランスがよく、今後数年使っても困らない規格として最もおすすめできます。

3. CAT6Aがおすすめされる理由(10Gbps対応とノイズに強い構造)

LANケーブル選びで最も迷うポイントが「結局CAT6とCAT6Aはどう違うの?」という点です。両者の大きな違いは10Gbps対応の有無です。CAT6は条件付きで10Gbps対応とされるものの、長さが伸びると安定性が落ちやすく、実際には1Gbps用途向けと考えたほうが良い規格です。一方、CAT6Aは最大100mまで10Gbps通信に対応しており、将来ネットワークを高速化したい人にとっては非常に安心できる選択肢になります。

さらに、CAT6Aはケーブル内部でノイズを減らす構造が採用されており、電化製品が多い家庭やオフィスでも安定した通信が期待できます。LANケーブルは見た目こそ似ていますが、中に通る信号はとても繊細で、ノイズの影響を受けやすいもの。だからこそ、周辺環境に左右されにくいCAT6Aが評価されているのです。

NASを利用する人や動画編集データをやり取りする人、複数台のパソコンをネットワーク接続している人など、ネットワークの安定性が重要となる用途では、CAT6Aの恩恵は特に大きくなります。価格差も近年ではかなり小さくなってきているため、LANケーブルを買い替えるなら、最初からCAT6Aを選んでおくと長期的に安心です。

4. CAT7・CAT8は必要?一般家庭では注意点も多い上級者向け規格

LANケーブル売り場を見ると、CAT7 や CAT8 といったさらに上位のケーブルも並んでいます。しかし、これらは主に業務用途やデータセンターなど、特殊な環境で使われることを想定した規格です。家庭用ルーターやPC、NASの多くはCAT6Aまでの対応にとどまっており、CAT7以上の規格を使っても性能を発揮できないケースが大半です。

さらに、CAT7・CAT8は内部構造が特殊で、プラグの規格が一般的なRJ45とは異なる場合があります。つまり、そもそも家庭用機器との互換性がない、あるいは性能を活かせない場合が多いのです。見た目だけで「数字が大きい=速い」と思って選んでしまうと、余計な出費につながることもあるため注意が必要です。

技術的にはCAT8のほうが圧倒的に高速ですが、それを活かすためには10GbEよりさらに上の 25GbE・40GbE といった環境が必要です。家庭用途ではまずお目にかかることはありません。つまり、一般ユーザーにとって CAT7 や CAT8 は“必要ない”ことが多く、むしろコストの無駄になりやすい規格です。LANケーブルは用途に合った規格を選ぶのが最も重要で、過剰性能を追う必要はありません。

5. LANケーブルの形状(フラット・細径・より線)も選ぶポイント

LANケーブルは規格だけでなく、形状や太さによっても使い勝手が大きく変わります。例えば、フラットケーブルは薄くて取り回しがしやすく、カーペットやドアの下などに通しやすいというメリットがあります。ただし、ノイズ耐性は丸いケーブルに比べると弱く、長距離の配線や高速通信には向かないこともあります。

一方、より線タイプ(柔らかいケーブル)は湾曲しやすく机周りの配線に向いていますが、太さによっては断線しやすいものも存在します。逆に、単線タイプは硬くて取り回しがしにくい反面、長距離でも通信が安定しやすいため、壁内配線やルーター〜NAS間など、重要なポイントの接続で採用されることが多いです。

また、最近ではスリムケーブル(細径ケーブル)も人気があります。細くて軽いので扱いやすい一方、細さの影響でノイズに弱いものもあるため、10Gbps通信を活かしたい場合は品質に気をつける必要があります。このように形状によって特徴が異なるため、“机周り=柔らかいより線” “固定配線=単線” と覚えておくと選びやすくなります。

6. 結論:迷ったらCAT6Aを選べば間違いない(初心者〜中級者の最適解)

ここまでLANケーブルの規格や違いを説明してきましたが、初心者の方にとって最も分かりやすい結論は「迷ったらCAT6Aを選べばOK」ということです。CAT6Aは10Gbps対応、ノイズに強い構造、価格のバランスが良く、現在の家庭用ネットワークでも数年後の環境でも安心して使える規格です。NASを使っている人や、将来2.5GbEや10GbE環境にアップグレードする可能性がある人にとっても、長く使える“ちょうど良い性能” を備えています。

CAT7以降は家庭用途で性能を発揮しにくく、互換性の問題もあるため、基本的には必要ありません。CAT6Aは性能と安定性のバランスが優れているだけでなく、価格がこなれているため、最もコストパフォーマンスに優れた選択肢になっています。LANケーブル選びは難しそうに感じるかもしれませんが、実は規格のポイントさえ押さえてしまえばとてもシンプルです。

自宅のネット環境を快適にしたい人、NASやパソコンをより高速に使いたい人は、まずLANケーブルの見直しから始めてみてください。ケーブル1本変えるだけでも、意外とネットワークの体感が変わることがあります。