はじめに

NAS用HDD選びで失敗する原因の多くは、「容量」や「価格」だけで選んでしまうことです。

NASでは、

  • 常時アクセス
  • 細かな書き込み
  • RAIDやメタデータ管理

といった処理が発生するため、HDDの記録方式や設計思想が、そのまま使い勝手や安定性に影響します。

この記事では、NAS用HDDを選ぶ前に必ず確認しておきたいポイントを、チェックリスト形式で整理します。

【チェック①】記録方式はCMRか?

なぜ最重要なのか

NASでは、

  • メタデータ更新
  • インデックス管理
  • 常時書き込み

が発生します。

そのため、ランダム書き込みに弱いSMR方式のHDDはNAS用途に不向きです。

SMRとCMRの仕組みの違いや、なぜNASでSMRが問題になりやすいのかについては、
別記事「HDDのSMRとCMRの違いとは?NAS・DAS別の最適な選び方」で図解付きで詳しく解説しています。

よくある失敗

「安いから大丈夫だろう」と判断し、SMR HDDをNASに使ってしまい、

  • 転送速度が極端に遅くなる
  • 深夜でもHDDが動き続ける
  • NASが常に重たい

といった問題に悩まされるケースがあります。

こうした挙動は、SMR特有の書き込み方式が原因で起こります。
NASでSMRを使うとなぜ速度低下や常時動作が起きるのかは、
HDDのSMRとCMRの違いとは?NAS・DAS別の最適な選び方」で詳しく解説しています。

チェック方法

• メーカー公式仕様ページを確認する
• 型番単位で「CMR / SMR」を確認する

記録方式が不明な場合は、避けるのが無難です。

【チェック②】NAS用途として明記されているか?

見るべき表記

  • NAS向け
  • 24時間稼働
  • RAID対応

こうした表記があるHDDは、
NASでの使用を前提に設計されています。

なぜ重要か

NAS向けHDDは、

  • 振動対策
  • 常時稼働前提の耐久設計
  • エラー処理の最適化

などが考慮されています。

注意点(重要)

「NAS向け」と書かれていても、
同一シリーズ内ですべてのモデルが同じ仕様とは限りません。

  • 容量違い
  • 世代違い

で、記録方式や内部仕様が異なる場合があります。

そのため、必ず型番単位で仕様を確認することが重要です。

【チェック③】RAID構成を想定しているか?

RAIDを使う場合

RAID構成では、

  • 再構築時に大きな負荷がかかる
  • 長時間の連続書き込みが発生する

ため、CMR HDDが必須です。

RAIDを使わない場合でも注意

「RAIDを組まないから関係ない」と考えがちですが、NASではRAIDなしでも、

  • 内部管理処理
  • メタデータ更新

によってディスクに継続的な負荷がかかります。

そのため、RAIDを使わない場合でも、NAS用途ではCMRを選ぶのが無難です。

【チェック④】容量だけで選んでいないか?

よくある判断ミス

  • 同じ容量で安いから
  • とりあえず大容量にしておけば安心

という理由だけで選ぶのは危険です。
価格はもちろん重要な選択肢の1つですが、安さだけで選んでしまうと必ず後悔します。

正しい考え方

容量選びで重要なのは、

どれくらい保存するかではなくどう使うかです。

  • バックアップ中心 → 容量重視
  • 日常的にアクセス → 安定性重視(CMR優先)

NASは基本的に後者になるため、「大容量で安い」だけの判断は避けるべきです。

【チェック⑤】型番を正確に確認しているか?

注意点

  • シリーズ名だけでは不十分
  • 容量違いで中身が別物のことがある

確認のコツ

  • 型番をコピーして公式仕様ページを見る
  • 海外仕様ページも確認する
  • 「型番 + CMR」「型番 + SMR」で検索する

【チェック⑥】用途は「保管」か「運用」か?

HDD

用途別の考え方

  • 保管中心:アクセスが少ない
  • 運用中心:常時アクセスがある

NASは基本的に「運用中心」の機器です。

そのため、DAS(外付けHDD)向けの考え方をNASに持ち込まないことが重要です。

【チェック⑦】価格が安すぎないか?

極端に安いHDDは、

  • SMR方式
  • 廉価ライン
  • NAS用途非想定

である可能性が高くなります。

価格だけで選ばず、理由を確認する視点が必要です。

このチェックリストの使い方

このチェックリストは、すべての条件を完璧に満たすHDDを探すためのものではありません。

重要なのは、明確なNG条件を踏まないことです。

  • 記録方式が不明 → 避ける
  • NAS用途の記載がない → 慎重に確認
  • 型番が曖昧 → 候補から外す

このチェックリストで「不安要素が残るHDD」は、たとえ価格が安くてもNAS用途ではおすすめできません。

よくある失敗例(実体験・事例ベース)

  • 安さでSMR HDDを選び、NASが極端に遅くなる
  • 深夜でもHDDの動作音が止まらない
  • RAID再構築が終わらない

これらは、購入前のチェックで防げる失敗です。

まとめ

NAS用HDD選びでは、「何を買うか」より「何を避けるか」を意識することが重要です。

記録方式(SMR / CMR)の違いをもう一度整理しておきたい場合は、
HDDのSMRとCMRの違いとは?NAS・DAS別の最適な選び方」をあわせて確認しておくと、
NAS用HDD選びで迷いにくくなります。

迷った場合は、安いHDDを選ぶより、不安が残るHDDを避けることを優先してください。

このチェックリストを使えば、NAS用HDD選びで大きく失敗する可能性は大きく下げられます。