1. 「どれくらいの容量が必要?」NAS選びで最初に迷うポイント

NASを選ぶとき、まず最初にぶつかる壁が「どれくらいの容量を選べばいいのか」という問題です。パソコンのストレージなら、使いながら増やしたり外付けを追加したりできますが、NASは「買ったあと長く使う」ことが前提になるため、容量選びで失敗したくないという人も多いはずです。しかも販売ページには「2TB」「4TB」「8TB」といった数字が並び、その横には「RAID1」「2ベイ」「ミラーリング」など、初心者には難しく感じる言葉が並んでいることも珍しくありません。

そこで大切なのは「自分がNASで何をしたいのか」をざっくりと把握すること。写真や動画のバックアップに使いたいだけなのか、家族みんなでデータを共有したいのか、NetflixやYouTubeのように動画再生をNASから行いたいのかで、必要な容量は大きく変わります。まずは「使い方のイメージ」を持つだけで、容量の目安が見えてきます。この記事では、自宅でNASを使う一般ユーザーが悩みやすい容量と台数の考え方を、分かりやすく丁寧に紹介します。

2. ホームユーザーの利用用途でよくある3パターン(容量の基準を理解する)

NASの容量は利用用途によって必要量が大きく変わります。ここでは、家庭用NASで特によくある3つの使い方を紹介し、それぞれに必要な容量の目安を解説します。

まず1つ目は「写真・動画のバックアップ専用」。スマホの写真、子どもの動画、旅行の思い出などを安全に保存する目的でNASを使う場合、容量は最低でも2TB〜4TBあれば安心です。スマホのカメラが高画質化していることもあり、動画を中心に保存する場合は4TB以上がおすすめです。

2つ目は「家族でデータ共有」。家族ごとにフォルダを作って写真や書類を管理する人も多いでしょう。この用途では利用人数によって容量が変わり、4人家族なら4TB以上を推奨します。家族全員がスマホを使っており、写真や動画をよく撮る家庭では6TB〜8TBあっても困りません。

3つ目は「動画や音楽データを大量に保存するメディアサーバー用途」。映画やドラマをローカル保存して再生するような使い方では、10TB以上の容量を選ぶケースも珍しくありません。特に4K動画は容量を圧迫するため、余裕をもった容量選びが重要です。

このように使い方を明確にすることで、自分に必要な容量の目安が自然と見えてきます。

3. NASはベイ数(台数)で何が変わる?ホームユーザーは2ベイが最適解

NASを選ぶときにもうひとつ重要なのが「ベイ数」。ベイとはHDDやSSDを入れるスロットの数のことで、1ベイ・2ベイ・4ベイなどモデルによって異なります。初心者に最も選ばれているのは「2ベイNAS」です。その理由は、データ保護とコストのバランスが非常に良いから。

2ベイNASでは、RAID1(ミラーリング)という構成を組むことで、片方のHDDが壊れてもデータを守れる仕組みを作れます。家庭用で最も重要視されるのは「写真や動画が消えないこと」なので、この冗長性はとても大きな安心材料になります。1ベイNASは価格が安いものの、HDD故障時のリスクが大きく、個人的には初心者やファミリーにはおすすめしづらいと言えます。

逆に4ベイNASは拡張性が高く、より複雑なRAID構成も組めますが、価格が高いうえ管理もやや複雑になりがちです。家庭用としてはオーバースペックになりやすく、「動画編集をNAS上で行いたい」「大量のデータを長期保存したい」といった明確な目的がない限り、2ベイで十分というのが現実です。

つまり、ホームユーザーがNASを選ぶ際は 「2ベイが基本」「RAID1で安心を確保」 と覚えておけば間違いありません。

4. 容量表の目安(2TB〜16TB)と家庭環境ごとの最適な選び方

実際にNASを購入するとき、どの容量を選べばいいか悩みますよね。ここでは家庭用NASでよく使われる容量の目安をわかりやすくまとめました。

  • 2TB(実質1TB):最小構成。写真中心のバックアップなら可。ただし余裕は少なめ
  • 4TB(実質2TB):写真+動画保存の一般家庭に最も多い
  • 6TB / 8TB(実質3〜4TB):家族画像・動画が多い家庭向け
  • 10TB〜16TB(実質5〜8TB):動画・映画保存、ホームメディアサーバー用途

※実質容量とは、RAID1で運用した場合の利用可能容量です。

家庭用で最もおすすめできるのは 4TB〜8TB の範囲です。これなら数年使っても容量不足に悩む可能性が低く、写真・動画・書類を気兼ねなく保存できます。特に、最近はスマホの4K動画が主流になってきているため、容量に余裕を持った選び方が安心につながります。

また、容量は「後から増やせばいい」と思いがちですが、RAID1の都合でHDDを追加・交換するときは同容量で揃える必要があるため、最初の段階である程度余裕を持つのがおすすめです。

5. 容量に迷う人ほど「将来の増加」を見越して選ぶのが賢いやり方

初めてNASを購入する人は、「こんなに容量いらないかも…?」と心配してしまいがち。しかし、実際にNASを使い始めると、スマホ写真のバックアップ、家族フォルダの整理、動画データの保存、書類の共有など、思っていたより利用用途が広がるケースが多いです。

さらに、スマホやカメラの画質向上は続いているため、一枚の写真や一本の動画が以前よりもはるかに大容量です。今は「2TBで足りる」と思っても、1〜2年で容量が圧迫されるのはよくある話です。そのため、NASは“今の容量ではなく未来の容量”を見越して選ぶのが賢い判断になります。

特に家庭内で複数ユーザーがNASを使う場合、データ量は加速度的に増えていきます。こうした背景から、初めてNASを買う人でも 最低4TB〜8TB級 を選ぶと後悔しにくくなります。「容量が大きいほど安心」というよりは、「大きい容量は未来のトラブルを防ぐ保険」と考えると選びやすくなります。

6. まとめ:ホームユーザーは「2ベイ+4〜8TB」が最も後悔しない選択

家庭用NAS選びで失敗したくない人は、まず 2ベイNAS+RAID1構成 をベースに考えるのが最も安全で現実的です。その上で、容量は4TB〜8TBを選べば、写真・動画・書類のバックアップに十分対応でき、数年後に容量不足で悩む心配も減ります。

NASは一度導入すると、家の中のデータ管理がとても便利になり、家族で共有する楽しさも広がります。「とりあえず使えればいい」という選び方よりも、「将来も困らない容量」を意識して選ぶことで、長く安心して使い続けられるNAS環境が手に入ります。初めての人でも難しく考える必要はありません。必要なデータ量のイメージを持ち、余裕を持った容量とベイ数を選べば、ホームユーザーとして最適な選択ができるはずです。