NASが遅く感じる理由は?初心者にも分かりやすく全体像を整理

NASを使っていると「なんだか遅い」「ファイルを開くのに時間がかかる」という場面は誰にでも起こります。特に家庭用のNASでは、PC・スマホ・Wi-Fi・LANケーブル・HDDといった複数の要素が組み合わさって動作しているため、原因はひとつではありません。NAS本体が悪いわけではなく、ネットワーク環境や設定、さらにはストレージの状態が影響しているケースも少なくありません。初心者の方はまず「遅さの原因はNASだけにあるわけではない」という前提を知っておくと、問題を解決しやすくなります。この記事では、よくある遅さの要因と、すぐに確認できるチェックリストをまとめて紹介します。

最も多い原因はネットワーク環境。Wi-FiとLANケーブルを見直すだけで改善

NASが遅く感じる理由の中でも、最も多いのがネットワーク環境です。特にWi-FiでNASに接続している場合、電波が弱かったり混雑しているだけで、ファイルの読み書きが大きく低下します。実際、Wi-Fiでは数十Mbpsしか出ない環境も珍しくなく、これではNAS本来の性能がまったく発揮できません。また、古いLANケーブルをそのまま使っている場合も速度の低下につながります。CAT5のような古い規格は100Mbpsまでしか対応しないため、ケーブルをCAT5eやCAT6に置き換えるだけで改善するケースがあります。まずは接続方法を確認し、有線接続に変更できるならそれが最も効果的です。

NAS本体のスペック不足が影響するケース。CPUとメモリの関係をやさしく説明

NASの性能そのものが遅さに影響している場合もあります。たとえばエントリーモデルのNASは、写真管理アプリやクラウド同期など複数の機能を同時に動かすと負荷が高くなり、動作が重くなる傾向があります。特にメモリが少ないモデルでは、アプリの動作やインデックス作成中にレスポンスが悪くなることがあります。また、家族全員が同時にアクセスしている場合や、大きなデータを扱う用途ではCPUの処理能力が追いつかず、全体的に遅く感じることもあります。こうした場合はメモリ増設が効果的で、4GB以上にするだけでも管理画面の反応が改善されるケースが多いです。

HDDの状態とNAS内の処理が遅さに影響。インデックス作成やスキャン処理にも注意

NASの遅さはストレージ側が原因のこともあります。HDDはSSDに比べて読み書きが遅く、さらに劣化が進むと速度が落ちます。特に写真や動画の大量取り込みをした直後は「インデックス作成」という処理が裏で走り、NAS全体が重くなることがあります。これは写真アプリや検索機能のために必要な作業ですが、完了するまで数時間かかることもあります。また、ウイルススキャンやバックアップなど重い処理が同時に行われていると、HDDの負荷が上がり、NAS全体のレスポンスが悪くなります。遅いと感じたときは、NASの管理画面で処理状況を確認するのが効果的です。

NASアプリの動作が重いときのチェック。Photos・Drive・Dockerなどの影響

Synology PhotosやDriveの同期、Dockerコンテナの動作など、NAS内で動くアプリも遅さの原因になることがあります。特にPhotosは大量の写真を処理するときにCPUやメモリを消費し、他の操作にも影響することがあります。また、ファイル同期アプリが常に動作している環境では、更新が多いフォルダをスキャンし続けるため、NASの負荷が上がる場合があります。さらにDockerを利用しているユーザーの場合、コンテナのリソース消費が意外と大きく、NAS自体が重くなることも珍しくありません。動作が遅いと感じたときは、どのアプリが負荷をかけているかを確認し、必要に応じて停止するだけでも改善します。

今日から使える「NASが遅いときのチェックリスト」

NASの遅さを改善するには、原因を順番に見つけていくことが大切です。まずはWi-Fiではなく有線接続できるか確認し、LANケーブルの規格を見直しましょう。次に、NAS本体のCPU・メモリが不足していないか、アプリが大量に動いていないかを管理画面でチェックします。HDDの健康状態や、インデックス作成中でないかも重要なポイントです。また、NASの再起動だけで改善することも多く、特に長期間電源を入れっぱなしの場合は効果的です。複数の要素が重なっていることもあるため、チェックリストを順番に確認していくことで、初心者でも確実に改善につなげることができます。

ネットワーク環境のチェック





NAS本体のスペック・負荷のチェック





ストレージ(HDD/SSD)のチェック





NASアプリ・サービスの見直し





環境全体のメンテナンスチェック