1. RAIDってそもそも何?やさしく説明すると
「RAID(レイド)」と聞くと専門的な印象がありますが、実は“複数のHDDを協力させて安全にデータを守る仕組み”のことを指します。1つのHDDだけに保存していると、もしHDDが故障したときに大切な写真や動画が一瞬で消えてしまうリスクがありますよね。RAIDはそれを防ぐための“保険”のようなもの。複数のHDDへデータを分けたりコピーしたりしながら保存することで、どれか1台が壊れてもデータを失わずに済む仕組みです。難しい設定を想像しがちですが、家庭用NASではボタンひとつで簡単にセットできるため、初心者でも安心。データが増え続ける時代では「とりあえずRAIDで守る」という考え方がとても大切になっています。
2. RAID1:家庭向けで一番わかりやすい“ミラーリング”
RAID1はとてもシンプルで、「2台のHDDに同じ内容をまったく同時にコピーする仕組み」です。たとえばHDD A と HDD B の両方に、同じ写真・同じ動画が保存されるイメージ。もしAが壊れてもBに全く同じデータが残っているため、安心して復元できるのが大きなメリットです。容量は片方のHDD分しか使えませんが、難しい操作を覚える必要がなく、家庭で最も採用されているRAID形式でもあります。「初めてNASを買う」「子どもの写真や動画を安全に守りたい」「パソコンに詳しくないけど安心して使いたい」という人にとって、RAID1はとても相性の良い構成です。とにかく分かりやすく、安全にデータを守りたい人ならまずRAID1を選んで間違いありません。
3. RAID5:容量も安全性も両立した“バランス型”
RAID5は3台以上のHDDを使う構成で、安全性と大容量をバランスよく実現できる仕組みです。仕組みは少し複雑なのですが、簡単にいうと「データをバラしながら保存しつつ、故障時に必要な情報も同時に記録しておく」イメージです。そのため、どれか1台が壊れても復元できるうえ、RAID1より多くの容量を使えるのが嬉しいポイント。写真や動画が大量にある人、NASを長く使い続けたい人にはよく選ばれる構成です。ただしRAID5は最低3台のHDDが必要で、構築が少し重たく時間もかかります。家庭でも使えますが「本格的にNASを活用したい人」「容量と安全性のどちらも妥協したくない人」に向いた方式といえます。
4. SHR(Synology Hybrid RAID):柔軟で初心者にも優しい構成
SHRはSynology独自のRAID方式で、「RAID1の分かりやすさ」と「RAID5の柔軟性」の良いとこ取りをした構成です。特に便利なのは、“HDDの容量が違っていても最大限活かせる”という点。たとえば4TBと6TBのHDDを混ぜて使っても、SHRなら無駄なく利用できるように調整してくれるため、後からHDDを買い足したいときも安心です。設定はほぼ自動で、家庭用NAS初心者でも迷うことがありません。「最初は小さめのHDDで始めて、あとで容量を増やしたい」というユーザーにはとても相性が良い方式。またSynology Photosなどアプリと合わせて使うと、家族みんなの写真を安全に、しかも賢く管理できるのが魅力。Synologyユーザーの定番構成です。
5. 家庭で選ぶならどれ?用途別にやさしく解説
NASを使う場合、どれが一番良いのかは「どれくらい写真・動画が増えるか」「どれだけ安全に守りたいか」で決まります。初心者で、とにかく安全にデータを守りたいなら RAID1 が最適。大容量データを扱う人や動画管理がメインなら RAID5 が選択肢に入ります。ただしRAID5は3ベイ以上のNASが必要なので、コストは少し上がります。一方でSynologyを使うなら SHR はほぼ最適解。あとからHDDを増やしても柔軟に対応できるため、長くNASを使う人にぴったりです。「これからNASを大事に育てたい」という気持ちで選ぶなら、SHRは安心感が一番高い構成といえます。
6. 初心者がまず知っておきたい“RAIDの誤解と注意点”
RAIDはとても心強い仕組みですが、万能ではありません。特に初心者が誤解しやすいのが「RAIDを組めばデータは絶対に消えない」というイメージ。しかし現実には、RAIDでも“人為的な削除”や“ウイルス感染”“NAS本体の故障”“火災や盗難”などには対応できません。RAIDはあくまで“HDD故障に強くなる仕組み”であり、データを完全に守るためにはNAS本体とは別の場所にバックアップを取ることが大切です。SynologyであればHyper Backup、外付けHDDへのバックアップ、クラウド連携などが役立ちます。RAIDはあくまで土台であり、バックアップと組み合わせて初めて本当に強い運用になります。
