結論から言うと、家庭用NASのRAID選びは「使っているNAS」と「将来どう増設したいか」でほぼ決まります。
特にSynologyを使っているなら、SHRを選んでおけば失敗しにくいと感じています。実際にDS220+を長期間運用してきましたが、あとからHDDを追加しやすく、初心者でも扱いやすい構成でした。
結論:家庭用NASのRAID選びは3パターンで決まる
家庭用NASで迷ったら、まずは下記の考え方で十分です。
- 2ベイNAS初心者 → RAID1 or SHR
- Synologyユーザー → SHR
- 4ベイ以上で容量重視 → RAID5
特に家庭用では、「理論上もっとも優れたRAID」を探すより、運用しやすさのほうが重要でした。
| RAID種類 | 耐障害性 | 速度 | 容量効率 | 最低HDD台数 | 難易度 |
|---|---|---|---|---|---|
| RAID0 | なし | 高速 | 非常に良い | 2台 | 低 |
| RAID1 | 1台故障まで | 普通 | 悪い | 2台 | 低 |
| RAID5 | 1台故障まで | 比較的高速 | 良い | 3台 | 中 |
| RAID6 | 2台故障まで | やや低下 | 普通 | 4台 | 高 |
| SHR | 1台故障まで(標準) | 普通 | 非常に柔軟 | 1〜2台 | 低 |
特にSynologyのSHRは、あとからHDDを追加しやすいのが強みです。「最初から同容量HDDを2台揃える必要がない」というのは、家庭用ではかなり大きいメリットでした。
RAID0・RAID1・RAID5・RAID6・SHRの仕組みと違い

家庭用NASで重要なのは、「どれが最強か」ではなく、自分の使い方に合っているかです。
RAID0(非推奨)
RAID0は速度と容量効率を優先した構成です。
複数HDDへデータを分散して書き込むため高速ですが、冗長性はゼロ。1台でも故障すると、すべてのデータが消えます。
動画編集の一時キャッシュ用途などでは使われますが、家庭用NASとは相性が悪いです。写真・動画・家族データの保存にRAID0はかなり危険でした。
RAID1(ミラーリング・初心者向け)
RAID1は、2台へ同じデータを書き込む構成です。
もっとも分かりやすいRAIDで、NAS初心者でも扱いやすい方式です。HDD1台が壊れても継続運用できて、復旧イメージが分かりやすく、設定が簡単というメリットがあります。
ただし、4TB HDDを2台使っても、使える容量は4TBです。容量効率は悪くなります。
RAID5(パリティ分散・容量重視)
RAID5は、データと復旧用情報(パリティ)を分散保存する構成です。
3台以上必要ですが、容量効率が良くなります。例えば4TB×4台なら、12TB程度を安全性込みで利用可能です。
ただし、HDD故障後のリビルド負荷が大きいのが難点です。最近はHDD容量自体が大きいため、リビルド時間もかなり長くなります。
RAID6(2台故障に耐える・上級者向け)
RAID6はRAID5の強化版です。2台同時故障に耐えられる代わりに、容量効率がさらに低下します。
家庭用ではオーバースペック気味ですが、8TB以上を複数台運用・長期保存・大量写真や動画のアーカイブといった用途では安心感があります。ただし4ベイ以上が前提になりやすく、コストも高めです。
SHR(Synology独自・家庭向け最適)
最終的に「家庭用ならこれが一番扱いやすい」と感じたのがSHRでした。
SHRはSynology独自RAIDです。内部的にはRAIDを自動制御していますが、ユーザー側はかなり簡単に扱えます。
特に便利だったのが、異容量HDDを使いやすい点・あとから増設しやすい点・移行が簡単な点の3つです。
家庭用NASは、最初から完成形で作るケースばかりではありません。「最初は4TB1台だけ、後から8TB追加」こういう増やし方がしやすいのは、SHRのかなり大きな強みでした。
2ベイNASならSHRが現実的な最適解

実際に2ベイNASを長期間運用して感じたのは、「最初から完璧構成にしなくて良かった」ということです。
1ドライブ運用からSHRへ移行した実体験
私は最初、DS220+をHDD1台だけで運用開始しました。
理由は単純で、最初から2台揃えると初期コストがかなり高かったからです。まずはNASそのものを使い続けるか試したかった。結果として、この判断は正解でした。
その後、データ容量が増えてきた段階で2台目HDDを追加してSHRへ移行しました。Synology DSM上で進められるので、初心者でも比較的分かりやすかったです。
実際のRAID化手順や移行時の流れは、こちらの記事で詳しくまとめています。
→ Synology DS220+をRAID化した実体験はこちら
SHRが2ベイで強い理由
RAID1だと、基本的に小さいHDD容量へ揃えられます。例えば4TBと8TBの組み合わせでも、RAID1では4TB基準になりやすいです。
一方SHRは、より柔軟に容量を活用できます。買い替えタイミングがズレる・セール時に容量追加する・HDDを使い回すといったケースが多い家庭用NASでは、SHRは現実的な選択肢でした。
HDDの選び方がRAID構成より重要な場合がある

実際に運用して感じたのは、「RAIDよりHDD選定のほうが重要では?」ということでした。
SMRとCMRの違いとRAIDへの影響
NAS用HDDでは、SMRとCMRの違いがかなり重要です。
簡単に言うと、SMRは書き込み効率優先・CMRは安定性重視というイメージです。特にRAIDリビルド時は大量書き込みが発生するため、SMRだと極端に速度低下するケースがあります。NAS用途では、基本的にCMR推奨です。
SMR/CMRの詳しい違いはこちらで解説しています。
SMR混在NASをCMRに乗せ替えた実体験
私は実際に、SMR混在環境からCMRへ交換しました。
理由は、深夜のNASを使用していない時間帯にもHDDが動作している状況や、リビルド速度への不安・NAS向けではないHDD混在・長期運用時の安定性、このあたりが気になったからです。
交換自体は、NASを停止してHDDを交換し、DSMでリビルドを開始するという流れでした。
ただ、問題はここからでした。リビルドがとにかく長い。
実際、完了まで約3日かかりました。その間もNAS自体は利用可能でしたが、大容量コピー・設定変更・不要な再起動はかなり避けていました。DSM上で進捗を何度も確認しながら、「途中で止まらないでくれ」と思っていた記憶があります。
完了後はかなり安定しました。心理的にも安心感が違いました。
NAS向けHDDのおすすめ選定基準
家庭用NASなら、最低限ここは意識したいです。
- CMRモデル
- NAS向けHDD
- 24時間運用対応
- 振動対策あり
代表的なのはWD Red PlusやSeagate IronWolfあたりです。逆に、安価なSMR外付けHDD流用はあまりおすすめしません。
RAIDを組んでも安心できない理由

RAIDは便利ですが、バックアップではありません。ここはかなり誤解されやすい部分でした。
RAID再構築(リビルド)中のリスク
HDD故障後、もっとも危険なのはリビルド中です。残ったHDDへ大きな負荷がかかります。
特に古いHDD同士だと、「1台壊れた直後にもう1台故障」ということが実際に起こります。大容量化した現在は、リビルド時間も長くなりがちです。
RAID=バックアップではない
RAIDは「止まらないため」の仕組みです。誤削除・ランサムウェア・NAS本体故障・落雷・災害といったケースでは普通にデータが消えます。
Hyper Backup・外付けHDD・クラウド連携との併用が必須
現在はRAIDだけに依存していません。Hyper Backup・外付けHDD・クラウド同期を併用しています。
特に写真データは、「二重化」より「別場所保存」が重要だと感じています。
用途別おすすめ構成まとめ
NAS本体のメーカー選びについては、こちらの記事も参考になります。
2ベイ初心者・Synologyユーザー
SHRがおすすめです。あとから増設しやすく、家庭用との相性がかなり良いです。
2ベイ・安定重視
シンプルにRAID1がおすすめです。設定も分かりやすく、トラブル時も理解しやすいです。
4ベイ以上・容量と安全性のバランス重視
RAID5が現実的です。大量の写真・動画保存とも相性が良いです。
よくある質問(FAQ)
SHRとRAID1はどっちが安全ですか?
2ベイ構成なら、耐障害性自体は近いです。ただしSHRのほうが拡張性が高く、家庭用では扱いやすいと感じました。
RAIDを組めばバックアップはいりませんか?
不要にはなりません。RAIDはHDD故障対策で、バックアップとは役割が違います。
リビルド中もNASは使えますか?
基本的には使えます。ただし速度低下しやすく、大容量コピーや重要な設定変更は避けたほうが安心でした。実際のリビルドでは完了まで3日かかりました。
SMRのHDDをNASで使ってはいけませんか?
使えないわけではありません。ただ、RAID用途ではリビルド速度や安定性面で不安が残りました。私は最終的にCMRへ統一しました。
まとめ

家庭用NASでは、「最強RAID」を探すより、運用しやすさを優先したほうが失敗しにくいです。
実際にDS220+を運用して感じたのは、2ベイならSHRがかなり扱いやすいこと・RAIDよりHDD選定が重要なこと・RAIDだけでは安心できないこと、この3点でした。
特にSynologyは、DSM込みで初心者でも扱いやすいNASです。これから家庭用NASを始めるなら、まずは2ベイ+SHR構成から始めるのが、一番バランスが良いと感じています。


