1. まずは3社の特徴をざっくり理解する
NASといえば長年“SynologyとQNAPの2強”と言われてきたが、2025年のクラウドファウンディングでかなりの人気となったUGREEN(ユーグリーン)が新しい選択肢として急速に注目され始めている。まずは3社の立ち位置を簡単に整理すると、Synologyは「初心者でも扱いやすい操作性」、QNAPは「高機能でハードウェア性能が強い」、UGREENは「安価でシンプル・家庭向け」というイメージ。どれもNASではあるが、実際に使うと“向いている人”が大きく異なる。この記事では、初めてNASを買う人でも迷わないよう、3社の違いを分かりやすくかみ砕いて紹介する。「ファイル保存だけできればいい」という人も、「写真管理を本格化したい」という人も、自分に合うメーカーが自然と見つかるはず。
2. Synology:初心者から中級者まで幅広く支持される理由
Synology(シノロジー)は、NASメーカーとして世界的に人気が高く、“使いやすさ”が最大の魅力。OSである「DSM」はiPhoneのように直感的で、「スマホの写真を自動でバックアップ」「ファイル共有」「外出先アクセス」など日常で使う機能が非常に分かりやすい。特にSynology Photosは、Googleフォトの代わりとして使えるほど完成度が高く、写真・動画の管理が快適。さらに動作が安定しているため、NASに詳しくないユーザーでも安心して運用できる。価格は3社の中でやや高めだが、サポート・アプリの質・UIの完成度を考えると“最も無難で後悔しにくい選択肢”と言える。家庭用でもビジネス用でも使える万能型ブランド。
3. QNAP:スペック重視・高度な使い方がしたい人向け
QNAP(キューナップ)は“ハードウェア性能が強い”メーカーで、CPU・メモリ・端子類などのスペックが高いモデルが多い。動画編集や仮想化、コンテナ運用(Docker)、機械学習など“NASを超えた使い方”をしたい人に向いている。OSである「QTS」は機能が豊富で、正直Synologyより設定が複雑な面もあるが、その分やれることは圧倒的に多い。写真管理アプリのQuMagieも優秀だが、総合的には“操作性より機能性”を求める方向け。注意点としては、機能が多いため初心者が触ると混乱しやすい点と、負荷をかける使い方を想定しているため排熱や消費電力が高くなりやすい点が挙げられる。上級者・クリエイター・エンジニア向けのパワフルなNAS。
4. UGREEN:とにかく安価で手軽。家庭利用の新定番候補
UGREEN(ユーグリーン)は、充電器やケーブルなどで有名なブランドがNAS市場に参入した比較的新しいメーカー。最大の特徴は価格の安さとシンプルな使い心地。SynologyやQNAPよりも安価にNASを導入でき、写真や動画の保存・スマホの自動バックアップなど、一般家庭で必要な機能はしっかり揃っている。ただし歴史が浅く、アプリの完成度やUIの洗練度は2大メーカーに比べるとまだ発展途中。高度なバックアップや仮想化などは向いていないが、「家族の写真をまとめたい」「クラウド代を節約したい」といったライト用途には十分。データ管理を初めて行う初心者にとって、“入り口としてのNAS”として非常にコスパが良い存在。
5. 3社の実際のモデルで比較:同じ“2ベイ入門機”でもこんなに違う
ここでは、Synology・QNAP・UGREENの“実際のエントリークラス2ベイNAS”を例に、どんな違いがあるのかを分かりやすく解説する。
まず Synology の DiskStation DS223j は、公式でも「初めてのNASに最適」と位置付けられた王道の入門機。動作が静かで省エネ、操作画面(DSM)が非常に分かりやすいのが特徴で、写真・動画の保存、PC・スマホのバックアップ、家族共有など、日常で必要な機能をシンプルにこなせる。「NASは初めて」「難しい設定はイヤ」という人にはもっとも扱いやすい1台。2025年12月1日の時点で30,500円。
次に QNAP の TS-216G は、2024年に登場した最新の入門NASで、価格を抑えつつ 2.5GbEポート搭載が大きな魅力。将来、家庭内ネットワークを2.5GbEへ高速化したい場合、買い替えずにそのままステップアップできる。Synologyより設定画面は複雑だが、ハードウェア性能に優れ、写真管理アプリ「QuMagie」など高機能なツールも扱える。少し上級者寄りだが、性能重視で入門したい人に向く。2025年12月1日の時点で36,500円。
そして UGREEN の NASync DH2300 は、コスパ重視の2ベイ入門モデル。Rockchip RK3576 + 4GB/8GB RAM を搭載し、最大30TB×2のHDDに対応。1GbE LAN・USB 3.2 Gen1・HDMI出力など、一般家庭で使うには十分過ぎる装備が揃う。“自宅クラウド”として写真や動画をまとめたい人向けで、価格も3社の中ではもっとも手頃。レビューでも「DS223j の競合」と紹介されており、「とりあえずNASを試したい」「価格が最優先」というユーザーには非常に選びやすい。2025年12月1日の時点で26,304円。
比較してみると、Synology=使いやすさと安定性、QNAP=性能と拡張性、UGREEN=価格と手軽さ という構図がモデルレベルでも明確に分かる。同じ“2ベイ入門機”でも方向性はまったく違い、自分が何を重視するかで選ぶべきメーカーが自然に決まってくる。写真管理ならSynology、性能重視ならQNAP、コスパ重視ならUGREENというのがもっとも分かりやすい判断基準。
6. 写真・動画管理で比較した場合の違い
写真・動画管理を重視する場合、3社の差がもっと分かりやすくなる。Synologyは「Synology Photos」が圧倒的に使いやすく、Googleフォトに近い操作性でファミリー共有・自動分類・顔認識まで揃う。QNAPは「QuMagie」が機能豊富でAI分析も強いが、UIが複雑で人によっては扱いづらい。UGREENはシンプルで最低限の機能は揃うが、細かな管理・写真分析・共有アルバムの洗練度では2社に劣る。また、大容量動画の扱いでは、QNAPの高スペック機種は非常に強く、Synologyは安定性の高さが魅力。UGREENは家庭用の軽い用途に向く。写真や動画を大量に扱いたい人はSynologyかQNAPを選ぶほうが満足度が高い。
7. どれを選ぶべき?初心者〜中級者の最適解
総合的に見ると、初心者から中級者までの幅広いユーザーに最適なのはSynology。操作がしやすく、写真・動画管理アプリが完成度高く、導入のハードルも低い。QNAPは「NASを使い倒したい」「スペック重視」「編集や仮想化も行いたい」など、上級者やパワーユーザーに向く。一方UGREENはコスパが非常に良いため、「初めてNASを導入する」「とりあえず写真の置き場が欲しい」という人には十分すぎる選択肢。どのメーカーも強みがはっきりしているため、自分が重視するポイント(使いやすさ・性能・価格)を基準に選ぶのが失敗しないコツ。NASは長く使う製品なので、将来の用途まで考えて選ぶと満足度が高まる。
