RAIDが組めないNASを選んだ時点で何を前提にしていたか?

結論として、1台目の選択理由がその後の運用意識を左右する。

私も最初に選んだのはRAID非対応のNASだった。価格と設置の手軽さを優先し、「壊れたら仕方ない」と割り切って使っていた。

ただし、絶体に失ってはいけないデータだけはGoogleドライブとDropboxにバックアップをとっておいた。

今は当たり前にある機能だが、これがNASだけで完結出来るSynologyは私にとって最も用途に合うバックアップ用のドライブだった。

この時点では、データはNASに集約しているが守っている意識は薄い。クラウドドライブにバックアップをとっているデータ以外は消えてもしょうがないと割り切っていた。

その感覚のまま2台目に進むと、RAID対応=自動的に安全という思い込みが生まれやすい。1台目での割り切りが、後の判断を鈍らせることがある。

また、RAID0、RAID1、RAID5、RAID6では守れるものがまったく違う。

このあたりも理解した上でRAIDを組む必要がある。

ミラーリングRAIDに変えたことで安心しすぎていないか?

HDD構成を変えてRAID1にした瞬間に警戒心が下がりやすい。

2台目でミラーリングRAIDが組める機種を選んだとき、私も「これで大丈夫」と感じた。ディスクが2台あるだけで、精神的な余裕は大きい。

しかし、ミラーリングは同じデータを同時に書き込む仕組みだ。誤削除や上書きミスも、きれいに2台へ反映される。

実際、整理中にフォルダ構成を誤り、そのまま確定してしまったことがある。RAID1でも戻せなかった。この経験で、安心感と安全性は別物だと痛感した。

データ移行時に「一度きり」で終わらせていないか?

移行作業の雑さが後々の事故につながる。

RAID非対応NASからミラーリング対応NASへ移すとき、多くの人は一度コピーして完了にする。私も最初はそうだった。

だが、コピー後の整合性確認をしていなかった。数か月後に古いデータが欠けていることに気づいたが、元NASはすでに初期化済みだった。

移行は作業ではなく期間だと考えた方がいい。一定期間は旧NASを残し、差分や復元テストを行う。この一手間が後悔を防ぐ。

RAID1が壊れたときの対応を想定しているか?

障害時の行動を決めていないと判断を誤る。

ミラーリングRAIDは1台壊れても動き続ける。しかし、警告が出た瞬間に焦って操作すると状況は悪化する。

私は通知を見てすぐ再起動しそうになったが、ログ確認と状態保持を優先した。結果、ディスク交換だけで復旧できた。

一方で、知人は警告無視で使い続け、健全側ディスクまで不調になった。RAID1でも「どう動くか」を決めていないと安全性は下がる。

RAID1でもバックアップが必要だと理解できているか?

結論として、ミラーリングとバックアップを分けて考えないと危険だ。

RAID非対応NAS時代は、消えてもしょうがないと割り切れない微妙なデータは、クラウドドライブかPCに逃がす意識があった。ところがRAID1導入後、その作業頻度は明らかに下がった。

しかし、筐体故障や操作ミス、ウイルス被害ではRAID1は無力だ。2台同時に同じ状態になるだけで、逃げ道はない。

現在はNAS外への自動バックアップを設定している。RAID1は前提条件であり、保険ではないと割り切った方が判断しやすい。

機種を良くすれば安全だと思っていないか?

結論として、機種変更だけでは事故は減らない。

RAIDが組めないNASから、ミラーリング対応NASへ。これは正しい進化だが、運用が変わらなければ結果は同じになる。

私も最初は設定任せで放置していた。SMART確認や定期スクラブは後回しだった。

結局、守っているのは機能ではなく使い方だ。点検頻度、バックアップ先、障害時の動き。この3点を意識しない限り、RAID1でも不安は消えない。

まとめ:2台目でRAIDを選んだ人が今すべきこと

RAID非対応NASから、RAID対応機を選んだ判断は間違っていない。

ただし、

  • RAIDで守れる範囲を正しく理解する
  • 移行作業を一度きりで終わらせない
  • 障害時の行動を事前に決める
  • NAS外バックアップを用意する

これが揃って初めて意味を持つ。

この記事を読み終えた今、RAID1に「何を任せてはいけないか」を判断できるようになる。次の行動は、NAS外への復元テストを一度実行することだ。