自宅メディアサーバー化とは

自宅メディアサーバー化とは、写真や動画などのデータをNASへ集約し、スマホやタブレット、テレビなど複数の端末から閲覧できるようにする運用のことです。
以前はDVDや外付けHDDに保存していた家庭も多かったと思いますが、スマートフォンの高画質化によって写真や動画の容量は年々増えています。気付けばスマホのストレージがいっぱいになり、どこへ保存すれば良いのか悩む方も少なくありません。
筆者も現在はSynology DS220+を運用していますが、用途の中心は仕事用データではなく家族写真や動画の保存です。特に便利だと感じているのは、スマホで撮影した写真や動画が自動的にNASへ保存され、そのままスマホやタブレットから閲覧できることです。
NASというと難しい印象を持たれがちですが、現在はクラウドサービスに近い感覚で利用できます。2026年時点では「NASで何でも再生する」というより、「NASに保存して各端末で楽しむ」という考え方の方が現実的です。
【2026年の前提】Synology「Video Station」終了で何が変わったか
NASのメディアサーバー化を調べると、古い記事では「Video Stationを使えば動画サーバーになる」「DS220+ならトランスコードもできる」といった情報を見かけることがあります。
しかし2026年現在、この情報はそのままでは通用しません。
Synologyは2024年8月公開のDSM 7.2.2において、Video Stationを廃止しました。これに伴い、従来利用できていたサーバー側の動画トランスコード機能も削除されています。
かつてはNAS側で動画をリアルタイム変換し、再生性能の低い端末でも視聴しやすくするという使い方が可能でした。しかし現在はその仕組み自体が存在しません。
そのため、DS220+を含む現行のSynology NASに対して「動画変換性能が高い」「4K動画を変換してどこでも再生できる」といった評価を前提に導入を検討するのはおすすめできません。
ではNASがメディア用途で使えなくなったのかというと、そうではありません。
むしろ現在は役割分担が明確になったと考えています。
- NASは保存と管理を担当する
- 再生はスマホやタブレット、テレビ側が担当する
- 動画形式は最初から再生しやすい形式で保存する
最近のスマホやタブレットは再生能力が高く、H.264形式のMP4動画であればほとんど問題なく再生できます。無理にNAS側で変換処理を行う必要がなくなったため、ストレージとしての役割に集中した方が運用もシンプルです。
筆者も現在は「NASはデータ保管庫」と割り切って運用しています。その方が設定も少なく、トラブルも少なく済みます。
写真・動画なら「Synology Photos」が一番ラク

筆者が現在もっとも利用しているNAS機能はSynology Photosです。
正直なところ、メディアサーバーという言葉から想像するような映画ライブラリよりも、日常的に利用するのは家族写真やスマホ動画の管理でした。
Synology Photosを使うと、スマートフォンで撮影した写真や動画を自動的にNASへバックアップできます。iPhoneでもAndroidでも利用でき、初期設定さえ済ませれば普段は意識する必要がありません。
筆者の環境でも家族のスマホ写真をNASへ集約しています。スマホの機種変更時に写真移行を意識する必要がなくなり、容量不足に悩まされることも大幅に減りました。
特に動画は容量を圧迫しやすく、数年分のデータをスマホ本体だけで管理するのは難しくなります。NASへ自動保存する仕組みを作っておくと安心感が大きく変わります。
また、Synology Photosは単なるファイル一覧ではなく、撮影日ごとのタイムライン表示やアルバム機能も備えています。
旅行写真を見返したり、子どもの成長記録を探したりするときも操作が分かりやすく、クラウドサービスに近い感覚で利用できます。
なお、Synology Photosのアルバム表示やインデックス作成のスムーズさは、NAS本体のメモリ容量にも影響されます。筆者のDS220+も標準メモリのままではアルバム表示に時間がかかる場面がありましたが、メモリを増設してからはDSM全体の動作も含めて快適になりました。気になる方はDS220+のメモリ増設レビューも参考にしてください。
NASを購入したものの使い道が思いつかないという方もいますが、写真管理だけでも十分価値があると感じています。
NASの容量をどれくらい選べばよいかは、Synology NASの容量の選び方で詳しく解説しています。
もっと凝りたい人向け:PlexやJellyfinという選択肢
映画やドラマを整理して管理したい場合は、PlexやJellyfinといったメディアサーバーソフトを利用する方法もあります。
これらのソフトを導入すると、NetflixやAmazon Prime Videoのようなライブラリ画面を構築できます。作品ごとにポスター画像や概要が表示されるため、コレクション管理が好きな方には魅力的な環境です。
ただし、2026年現在のDS220+運用では注意点があります。
DSM 7.2.2以降はSynology側のサーバーサイドトランスコード機能が利用できません。そのため、PlexやJellyfinを使う場合でも、動画ファイルは最初から再生端末で対応できる形式にしておく必要があります。
例えばH.264形式のMP4ファイルであれば、多くのスマホやタブレット、Fire TVで再生できます。一方で特殊な形式や高負荷なコーデックを利用すると、端末によって再生できない可能性があります。
筆者自身は現在PlexやJellyfinを常用しているわけではありません。
理由は単純で、普段見るのが家族写真やスマホ動画だからです。映画コレクションを大量に管理する趣味がある場合は検討する価値がありますが、一般家庭であればまずSynology Photosから始める方が満足度は高いと思います。
端末別・NASの動画や写真を見る方法

スマホ・タブレット
もっとも利用頻度が高いのはスマホやタブレットです。
写真や動画を見るだけであればSynology Photosアプリで十分です。撮影日やアルバムごとに整理された状態で閲覧できるため、ファイル管理を意識する必要がありません。
動画ファイルを直接開きたい場合はVLCなどの再生アプリを利用する方法もあります。対応形式が広く、再生トラブルも少ないため便利です。
テレビ・Fire TVの大画面で見る
旅行動画や家族のイベント映像は、大画面で見たくなることもあります。
その場合はFire TVやAndroid TVを利用すると比較的簡単です。PlexやJellyfin対応アプリを利用したり、スマホからキャストしたりする方法があります。
筆者もテレビで動画を見ることがありますが、基本的には家庭内ネットワーク上で視聴しています。ギガビットLAN環境であれば、一般的な家庭用動画の再生で困ることはほとんどありません。
家の中での視聴が基本
NASは外出先からアクセスすることも可能です。
ただし、写真の閲覧程度なら快適でも、大容量動画のストリーミングは回線速度の影響を受けます。特に現在のDS220+運用ではサーバー側トランスコードが利用できないため、家庭内利用を中心に考えた方が運用しやすいでしょう。
NAS本体をどう選ぶかは、メーカーごとの違いをまとめたSynology・QNAP・UGREENの比較記事も参考にしてください。
メディアサーバー化の注意点

メディアサーバーとしてNASを利用する場合、いくつか注意しておきたいポイントがあります。
動画は想像以上に容量を使う
写真だけなら数TBでも長期間運用できますが、4K動画を保存し始めると消費容量は一気に増えます。
NAS選びでは現在の容量だけでなく、数年後まで見据えて余裕を持った構成を考えることが重要です。
NASも故障する
RAIDを組んでいてもバックアップではありません。
NAS本体の故障や誤削除、災害などのリスクは残ります。大切な写真や動画は外付けHDDや別NASへのバックアップも検討した方が安心です。
筆者もTime Machineバックアップや複数保存を意識して運用しています。
Macのバックアップ環境については、MacのTime MachineをSynology NASへ保存する設定方法でも詳しくまとめています。
著作権には注意する
個人で撮影した写真や動画を保存する用途であれば問題ありませんが、市販コンテンツの取り扱いには注意が必要です。
メディアサーバーは便利ですが、著作権法や利用規約の範囲内で利用することが前提です。
結論|音楽はサブスク、写真と動画はNAS。我が家の最適解

NASを使い始めた頃は、「すべてのメディアをNASで管理しよう」と考えていました。
しかし実際に運用を続けて感じたのは、用途ごとに最適なサービスを使い分ける方が圧倒的に楽だということです。
現在の我が家では、音楽はApple Musicを利用しています。膨大な楽曲が利用でき、管理の手間もほとんどありません。
一方で、家族写真やスマホ動画はSynology Photosで管理しています。自分で所有できるデータだからこそ、NASとの相性が非常に良いと感じています。
2026年のNASメディアサーバー運用は、かつてのような「NASが何でも変換して再生する世界」ではありません。
NASは保存と管理を担当し、再生はスマホやタブレット、テレビなど各端末が担当する。その考え方に切り替えると、DS220+のような家庭向けNASでも十分便利なメディア環境を構築できます。
これからNASを導入するなら、まずはSynology Photosによる写真・動画管理から始めてみるのがおすすめです。筆者自身も、結局そこがもっとも利用頻度の高い機能になっています。

