家庭用NASでRAID構成に迷っているなら、SynologyユーザーはSHRを選べばほぼ間違いありません

RAIDにはRAID1、RAID5など複数の種類がありますが、家庭用NASで大事なのは「理論上の最強構成」を選ぶことではありません。HDDを交換しやすいこと、容量を増やしやすいこと、トラブル時に迷わず対応できることのほうが重要です。

特にMacユーザーがSynology NASを写真保存・Time Machine・家族の共有ストレージとして使うなら、運用しやすいSHRが最も現実的な選択です。

この記事では、RAID初心者向けにRAID1・RAID5・SHRの違いを整理しつつ、筆者がSynology DS220+で1台運用からSHRへ移行した体験も交えて解説します。

結論:SynologyユーザーはSHRを選べばいい

結論から言うと、Synology NASを家庭で使うならSHRを選べばいいです。

SHRはSynology Hybrid RAIDの略で、Synology独自のRAID管理方式です。難しい設定を意識しなくても、HDD故障に備えつつ、あとから容量を増やしやすい構成を作れます。

家庭用NASでよく比較されるRAID構成を、RAID1・RAID5・SHRの3つに絞ると次のようになります。RAID0はHDD故障への耐性がなく、RAID6は家庭用では構成が重くなりすぎるため、ここでは省略します。

構成耐障害性容量効率拡張しやすさ家庭用おすすめ度
RAID1◯ 1台故障まで△ 半分△ 同容量HDD必須
RAID5◯ 1台故障まで◯ 良い△ 3台以上必要△ 4ベイ以上向け
SHR◯ 1台故障まで◯ 柔軟◎ 異容量HDDでもOK

2ベイのSynology NASなら、SHRはRAID1に近い安全性を持ちながら、将来の容量拡張がしやすい構成です。初心者ほど、最初からSHRを選んでおくほうが後悔しにくいです。

SHRがMacユーザーの家庭用NASに向いている理由

SHRがMacユーザーに向いている理由は、運用がシンプルだからです。

たとえば最初は予算を抑えるために4TBのHDDを1台だけで始め、あとから8TBのHDDを追加するような使い方ができます。一般的なRAIDでは同じ容量のHDDを揃える前提になりがちですが、SHRは異なる容量のHDDを組み合わせても扱いやすいのが特徴です。

また、SHRで構成したNASは、MacのTime Machineバックアップ先としてもそのまま使えます。Time MachineはMac全体を復元できるバックアップ機能で、Mac本体の故障や買い替え時にも役立ちます。

DSMの画面上でストレージプールやボリュームを管理できるため、ターミナル操作や難しいコマンドは不要です。普段Mac中心で作業している人でも、Synologyの管理画面だけで設定を完結できます。

さらに、将来HDDを1本ずつ大容量に交換できる点も大きなメリットです。iPhoneの写真・動画が増えてもNAS全体を買い替えずに延命できます。

RAID1・RAID5・SHRの違いをざっくり理解する

NAS

RAIDは、複数のHDDを組み合わせて1つの保存領域として扱う仕組みです。家庭用NASでは、主にHDD故障への備えとして使います。

RAID1:シンプルだが拡張性は低い

RAID1は、2台のHDDに同じデータを書き込む構成です。片方が故障してももう片方にデータが残ります。仕組みは分かりやすいですが、使える容量はHDD容量の半分になります。また容量を増やす際は同容量以上のHDDに交換する必要があり、拡張性は高くありません。

RAID5:容量効率は良いが3台以上必要

RAID5は3台以上のHDDでデータと復旧用情報を分散保存する構成です。1台故障まで耐えられ、RAID1より容量効率が良いのが特徴です。ただし2ベイNASでは使えないため、家庭用で最初に選ぶ構成としては候補から外れます。4ベイ以上で大量の写真・動画を保存する人向けです。

SHR:RAID1の安全性と柔軟な拡張性を両立

SHRはSynology独自のRAID管理方式です。2ベイ構成ではRAID1に近い冗長性を持ちつつ、異なる容量のHDDを組み合わせやすく、将来の増設や交換に対応しやすい点が強みです。RAID0・RAID6は一般家庭のSynology NASで使う場面はほぼないため、Synologyユーザーが意識するのはSHRとRAID1の2択で十分です。

筆者の実体験:DS220+で1台→SHRへ移行した話

Synology DS220+

筆者はSynology DS220+を自宅で運用しています。最初はコストを抑えるためHDD1台だけで使い始めました。写真や動画、Time Machineの保存先として十分でしたが、データ量が増えてきた段階で2台目を追加しSHR構成へ移行しました。

移行作業はDSM上で完結しました。画面の案内に沿って操作できたため、Mac側で特別な作業は不要でした。

その後、SMRのHDDが混在していた状態からCMRのHDDへ交換したことがあります。このときのリビルド(交換したHDDへデータを再構築する処理)には約3日かかりました。リビルド中もNAS自体は使えましたが、大容量ファイルのコピーや写真の大量移動は避けました。家庭用NASでは、リビルド中に無理な作業をしないことも大切です。

RAIDを組んでも安心できない理由

RAIDを組むと安心感はありますが、RAIDはバックアップではありません

RAIDが守ってくれるのは主にHDD故障時の継続利用です。誤ってファイルを削除した場合、その削除はRAID上でも反映されます。ランサムウェアによる暗号化、NAS本体の故障、落雷や水濡れにもRAIDだけでは対応できません。

そのため、別途バックアップは必須です。Hyper Backupと外付けHDDケースを使い、週1回バックアップを取る運用が現実的です。具体的な手順はNASのバックアップ方法(Hyper Backup+外付けHDD)で詳しく解説しています。

また、外出先からNASにアクセスしてバックアップ状況を確認する方法については、Synology NASへの外部アクセス方法(QuickConnect・VPN比較)もあわせて参照してください。

HDDの選び方もRAID構成と同じくらい重要

HDD

RAID構成をSHRにしても、HDD選びを間違えると運用でつまずきます。NAS用途では、基本的にCMR方式のHDDを選ぶべきです。

CMRは従来型の記録方式で、長時間稼働や書き換えが発生するNAS用途に向いています。一方SMRは記録密度を高めやすい方式ですが、書き換えやリビルド時に速度が大きく落ちることがあります。

筆者もSMR混在からCMRへ交換したとき、リビルドに約3日かかりました。最初からCMRに統一しておくほうが安全です。家庭用Synology NASで選ぶなら、WD Red PlusやSeagate IronWolfが候補になります。

SMRとCMRの違いについてはHDDのSMRとCMRの違い|NASに使うならどちらを選ぶべきかで詳しくまとめています。

MacのTime MachineをSHR構成のNASで使う

SHR構成のSynology NASは、MacのTime Machineバックアップ先として使えます。Time MachineはMac本体のデータや設定をバックアップし、故障時や買い替え時に復元できる機能です。NASをバックアップ先にすることで、外付けHDDをMacに直接つないでおく必要がなくなります。

SHRでHDDを冗長化したNASにTime Machineを保存すれば、Mac側のバックアップとNAS側のHDD故障対策を組み合わせた二重の安全網になります。

ただし、Time MachineはあくまでMacのバックアップです。NASに保存した写真・動画・家族共有データ全体を守るものではないため、Hyper Backupによるバックアップは別途必要です。

設定手順はMacのTime MachineをSynology NASへ設定する方法で解説しています。

用途別おすすめ構成まとめ

Synology NASとHDD

2ベイ・Synology・初心者ならSHR+WD Red Plus 4TB×2台

これからSynology NASを家庭で使い始めるなら、2ベイNASにWD Red Plus 4TBを2台入れてSHRで構成するのが扱いやすいです。写真・動画・Time Machine・家族共有の保存先として使うなら、最初からSHRを組んでおくと安心です。

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2ベイ・他社NASならRAID1

Synology以外の2ベイNASを使う場合はRAID1が基本です。SHRはSynology独自の仕組みのため他社NASでは使えません。RAID1でシンプルに運用するのが分かりやすいです。

4ベイ以上・大量保存ならRAID5も候補

4ベイ以上のNASで大量の写真・動画を保存するならRAID5も候補になります。ただしHDD台数が増えるほど初期費用もリビルド時間も増えます。最初の一台なら2ベイSynology+SHRのほうが導入しやすいです。

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よくある質問(FAQ)

SHRとRAID1はどっちが安全?

2ベイ構成なら、HDD1台故障まで耐えられる点は同等です。違いが出るのは拡張性で、SHRは異なる容量のHDDを組み合わせやすく、将来の容量アップに対応しやすいです。Synology NASなら、RAID1よりSHRを選ぶほうが運用しやすいです。

RAIDがあればバックアップは不要?

不要にはなりません。RAIDはHDD故障への備えであり、バックアップとは役割が違います。誤削除・NAS本体故障・ランサムウェア・災害にはRAIDだけでは対応できません。Hyper Backupなどで外付けHDDへ別途バックアップを取るべきです。

リビルド中もNASは使える?

使えます。ただしリビルド中はNASに負荷がかかるため速度が低下します。筆者の環境ではリビルド完了まで約3日かかりました。大容量コピーや写真・動画の大量移動はリビルド完了後に行うほうが無難です。

SMRのHDDでもRAIDは組める?

組むこと自体はできますが、NAS用途では推奨しません。SMRはリビルド時に速度が落ちやすく、RAID運用では不安要素になります。HDDはCMRに統一するのが安全です。

まとめ

Synology DS220+

Synology NASを家庭で使うなら、RAID構成はSHRを選べば問題ありません。

RAID1やRAID5にも役割はありますが、MacユーザーがSynology NASを写真保存・Time Machine・家族共有ストレージとして使うなら、SHRの運用しやすさが大きなメリットになります。ただしRAIDはバックアップではありません。SHRでHDD故障に備えつつ、Hyper Backupと外付けHDDで別途バックアップを取るところまで含めて、家庭用NASの安全な運用です。

NASのメーカー選びから迷っている場合は、Synology・QNAP・UGREENを徹底比較も参考にしてください。